第三テーマ館 日航123便「御巣鷹の尾根」墜落事故
1989年11月22日、前橋地検は、県警から業務上過失致死傷容疑で書類送検されていた日航、運輸省、ボーイン
グ社関係者20人と、遺族側から告訴・告発されていた3者の幹部12人全員の不起訴処分を発表した。
事故原因はボ社の修理ミスと認定しながら、肝心のボ社関係者の事情聴取ができないため、日航、運輸省関係者に
ついても刑事責任を負わせるほどの注意義務はなかったとされる、「嫌疑不十分」あるいは「嫌疑なし」との判断であっ た。
これを不服とした8・12連絡会は、前橋検察審査会に審査申し立ての手続きをとり、受理されるが、最終的に前橋地
検は再捜査のあと、7月12日、過失が特定できないことを理由に、再び不起訴を確定した。
不思議なことに、この大事故はだれ一人刑事責任を問われることなく、すべてが完全に終わってしまった。
事故調の報告書には、前橋地方検察庁も困っていたようだ。
前橋地検がボーイング、運輸省航空局、日航の関係者全員の不起訴処分を決定したため、「8・12連絡会」は不起
訴理由を明らかにする「説明会」開催の申し入れをした。その説明会は1990年7月17日に5時間にわたって開かれた。 注目すべきはこの事故の捜査を担当した検事の報告書に対する評価である。担当検事は次のように述べている。
「私はいろんな角度から捜査した。それで11月までずれこんだ。その結果わかったことは、修理ミスが事故の原因かど
うか相当疑わしいということだ。事故原因はいろんな説がある。タイ航空機のときには、乗客の耳がキーンとしたという 声があったが、今回にはない。圧力隔壁破壊がいっぺんに起こったかも疑問である。
まず、ボーイング社が修理ミスを認めたが、このほうが簡単だからだ。落ちた飛行機だけの原因ならいいが、他の飛
行機までにおよぶ他の原因となると、全世界のシェアを占めている飛行機の売れ行きも悪くなり、ボーイング社としては 打撃をうけるからだ。そこで、いちはやく修理ミスということにした。
事故調査委員会の報告書も曖昧と思う。みなさんはわれわれが本当に大切な資料を持っているように思っている
が、資料は事故原因については事故の報告書しかわからない。それを見ても真の原因はわからない。それ以上のこと は法学部出身のわれわれにわかるはずがない。われわれが調べたのは乗っていた人の調書等、日航の調書、飛行 機の破片、遺体の資料等、キャビネット20本以上もある。でも何もわかりませんよ。今日これから資料をお見せしても いいです」
(米田憲司『御巣鷹の謎を追う』より)
このときのことを、遺族のひとりである池田知加恵さんは、次のようにうけとめています。
前橋地検は、再不起訴処分を下したあと、7月17日、異例の説明会を開いた。5時間に及ぶこの会には、私も参加し
た。遺族23人、弁護士2人。説明者は、前橋地検の山口悠介検事正であった。ボ社社員を嘱託尋問しなかった理由 と、日本の領収検査の責任者を起訴しなかったことに関して、海渡弁護士との間に激しく質疑応答が集中した。山口氏 はその間、
「飛行機に乗る人が多すぎるのがいけない」
「胃を手術するほど、自分の仕事にうちこんでいる」
と、得意げに言い、目の前で服を脱ぎその手術の傷跡を見せた。私には、その時の不遜な山口氏の言動が今でも信じ
られない。
その後、別室にて膨大な事故の捜査資料が公開され、たくさんの凄惨な遺体の記録写真を見たが、そのようなもの
が地検に残されていることに、私は大へん驚いた。
池田知加恵『雪解けの尾根』より
未だに事故の真相を求めて活動しているホームページは、結構たくさんあります。
リンクをたどっていったら、とても一晩では見きれない内容があります。
リンクの了解(またはフリー)の得られたサイトのみ下記にご紹介します。
日航機事故 東京−大阪123便 新聞見出しに見る20年間の記録
日航123便(JA8119)御巣鷹山墜落事故の真実
ゲストブック掲示板に寄せられた膨大な意見が、参考になります
日本航空機長組合
日本航空123便事故御巣鷹山悲劇の真相
虚飾を排した、客観的事実(Document)による検証
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