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かみつけの国 本のテーマ館
第五テーマ館 根源から「お金」を問う  

根源から「お金」を問う エンデの遺言





すべてこの世のものは、
自然であれ、人間がつくったものであれ、
時間とともに老化して、
価値は下がっていきます。


なのに「お金」だけが、
なぜ、時間がたっても価値が減らず、
そればかりか「利子」というオマケまでついて、
価値が増えていくのでしょうか。
,


 この一見あたりまえと思われていることに、エンデは生涯を通じて疑問をなげかけてきました。
  有名な「モモ」も、エンデのこうした問いかけのひとつです。

 エンデはあまり知られていないひとりの経済学者、シルビオ・ゲゼルの理論に注目しました。

それは、もし「お金」も他の自然や人間の作ったものと同じように、時間とともに価値が減少していくとしたら?
という考えです。




時間とともに価値が減少していくお金

 それは、長くもっていると損をするので、
人はすぐ使うようになります。
  (少ない貨幣流通量で経済活動は活発になります)


そして、「富」は「お金」で持つよりも、
長もちする「モノ」で持つようになります。

  それは、使い捨ての商品よりも、
100年もつ建物や森を育てることの方が得をする社会です
,

 




こんなスゴイ考えが、すでに世界で、そして日本でも各地で実際に始まろうとしています。

実際に広がっているのは、時間とともに価値が減少していくお金ではなく、
利子のつかないお金=長く持っていても得にならないお金ですが、
国により、地域により、様々なスタイルが実行されています。)



このパネルのコーナーは,現在はありません


 

 地域通貨(エコマネー)とは

  「地域通貨とは、限定された地域でしか使えない通貨であり、法律で定められた国家通貨である円やドル、ユーロ
等に対する言葉です。
  他にも補完通貨とか自主通貨、自由通貨、会員制通貨、コミュニティー通貨、グリーンドル、エコマネー、オリジナル
マネーなどと呼ばれています。
  (「だれでもわかる地域通貨」森野栄一監修、北斗出版 36ページより)
 地域通貨のもうひとつの特徴は、利子のつかないお金ということです。
  一部、利子がつかないだけではなく時間とともに「減価(価値が下がる)」する地域通貨もありますが、現在普及してい
る大半は、持っていても利子がつかない、つまり蓄財価値はあまりないこのタイプのものです。
  (もっとも、利子がつかないというだけでは、現在の銀行預金もほとんど同じになってしまっていますが。)


 地域通貨でなにが変わるのか
  
  よく、地域通貨を、なにか便利な通貨としてばかりとらえられる傾向がありますが、地域通  貨でもっとも重要なの
は、国の通貨に頼らない人と人との関係をきずくことにあります。

  この仕事、この用事、この品物をどうしようか、誰にたのももうか、誰に使ってもらおうか、
等などの日常の様々なことがらが、自分の今住んでいる地域内で済ませられることであれば、
あの人に頼めばできる、私ならこれがしてあげられる、といったような地域の関係をたくさん築いていくことにこそ地域
通貨の核心部分があるのだと思います。
 これは、出だしは一見大変な作業をともないますが、この流れをつくることができれば、地域のコミュニケーション自
体をとても生きた関係にすることができます。


 地域通貨を運用し成功するには、地域コミュニティー作りの基本構想を
はっきりさせ、しっかりした運営管理者の存在が不可欠。

  地域通貨は、決してそれを導入しさえすれば何かが変わるといったような自動装置ではありません。
  無人格な従来の貨幣と異なって、抽象的な量でのみ交換の仲立ちをするのではなく、常に具体的な労働やものの価
値を対応させるところに大事な特徴があります。
 したがって、地域通貨の管理者は、お金の流通管理業務だけではなく、どこそこに住んでいる誰それさんのあの能力
を欲しがっているひとが、どこそこにいるといった、具体的な人と人との仲介がなによりも大切な仕事になります。
 安易に自治体主導で、街づくりの一方策としてブームにのって導入して成功できるようなものではありません。
  しっかりと、どうのようなコミュニティーを築き上げるのかイメージをもって取り組むことが重要です。



 地域通貨は現行通貨のグローバルな機能と共存、分業が必要。

 地域通貨は現行通貨に単純にとって代わるようなものではありません。
  現行通貨も様々な問題はあるものの、信用や付加価値、期待値を「利子」という方法で表現すること自体、すべて間
違っているわけではありません。
  ただ、グローバル化一本やりの世の中が非常に脆弱な経済構造になってしまっていることは確かで、「剥き出しの資
本主義」といわれる社会のなかでも、より多くの人々がもっと豊かに、自由に暮らせる社会を築くために役立つシステム
であるといえます。




しかし、世界各地での経験から、以下のことにも同時に気づき始めました

「1999年に放送、2000年に出版された『エンデの遺言』への反響は3年経っても持続し、日本中で様々な地域通貨が生
れる社会現象とさえなっています。大学での卒業論文のテーマにもなり、各自治体からは国内外の実践現場への視察
が相次ぎ、一部大企業も熱い関心を寄せています。しかし、そのようなムーヴメントには少し危なっかしいところもある
ように感じていました。地域通貨は、地域振興の切り札であるとか、コミュニティーを創造するシステムだとか、そんなう
まい話ではないのです。地域通貨がもっている可能性はシステムからくるのではなく、個人にあると考えていま

地域通貨は、参加する人の問題意識や理想、思惑をそのまま映し出します。硬直化した組織がなかなか改革されない
日本では、個人の夢を自由に乗せられる社会システムがあまりないことも事実です。何しろ「お金」を市民が発行できる
という発想の大転換がそこにあるのですから。」          (坂本龍一+河邑厚徳『エンデの警鐘』NHK出版あと
がきより)





   
 ミヒャエル・エンデが日本人への遺言として残した一本のテープ(1994年)をもとに作られたNHKの番組「エンデの遺
言―根源からお金を問う」(NHKエンタープライズとプロダクション「グループ現代」制作、1999年5月4日放送)は、大変な反響
をよびました。
 そして、その番組をもとに作られた「エンデの遺言―根源からお金を問うこと」NHK出版は、決してベストセラーになる
ような本ではありませんが、今世紀の前半を通じて重要なキーをなす1冊になることに間違いはありません。
 このような本の価値こそ、書店店頭だけではなく、ホームページなどのネット上で長期的に普及させる価値のあるもの
と考え、当テーマ館のひとつの柱に加えました。
 当然これを機会に、エンデの「モモ」をもう一度読み直してみようという人や、エコマネー(地域通貨)を自分の地域で
も是非試みてみようという人が増えていくことを望むものです。


 オンケン氏はエンデ宛に「貨幣制度改革が『モモ』の中で表現されている印象をうけた」という書簡を送った。それに対し、エンデは「それこそがこ
の本のテーマです。……老化する貨幣が私の本『モモ』の背景にあることに気づいたのは、あなたがはじめてです。シュタイナーとゲゼルの考えを
この数年間、集中的に学びました。そして、貨幣の問題が解決されなければ、私たちの文化に関する問題は解決されないことに気づきました。」
                               ヴェルナー・オンケン 著  宮坂英一 訳
                                「経済学者のための『モモ』入門」
                                  『自由経済研究 第14号』ぱる出版 7ページより




  

エンデの遺言  「根源からお金を問うこと」 
 河邑厚徳+グループ現代
NHK出版(2000/02/25) 定価 1500円+税

 
  読んだ人は誰しもこれはスゴイ!と感動する本なのですが、
残念ながらこの装丁とタイトルからだけでは一般のひとの興味はなかなか引きません。
  坂本龍一は、「21世紀に残す10冊」という企画のなかで、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』や
ゲーテの『ファウスト』などの世界の名著と並べて『エンデの遺言』を選んでいます。
地域通貨がもの凄い勢いで各地に普及しているのも、
その考えの根本をこの本で理解した人が中心いなっていることは間違いありません。
 更なるこの本の普及のために、皆さんの知恵と力を貸してください。




エンデの警鐘  地域通貨の希望と銀行の未来
 坂本龍一+河邑厚徳 編著 日本放送出版協会 (2002/04)
定価1,600円+税
 
  「1999年に放送、2000年に出版された『エンデの遺言』への反響は3年経っても持続し、日本中で様々な地域通貨が
生れる社会現象とさえなっています。大学での卒業論文のテーマにもなり、各自治体からは国内外の実践現場への視
察が相次ぎ、一部大企業も熱い関心を寄せています。しかし、そのようなムーヴメントには少し危なっかしいところもあ
るように感じていました。地域通貨は、地域振興の切り札であるとか、コミュニティーを創造するシステムだとか、そんな
うまい話ではないのです。地域通貨がもっている可能性はシステムからくるのではなく、個人にあると考えています。
地域通貨は、参加する人の問題意識や理想、思惑をそのまま映し出します。硬直化した組織がなかなか改革されない
日本では、個人の夢を自由に乗せられる社会システムがあまりないことも事実です。何しろ「お金」を市民が発行できる
という発想の大転換がそこにあるのですから。」
 
 本書のなかで前橋芸術家協会の発行するMAAS証書が紹介されています。
 森野栄一氏によるとMASS証書は芸術家の作品を『先売り』するシステムであり、
「芸術家の未来をたった只今の現在において支援しよう」という仕組みであると表現しています。
 具体的には、「一口1,000円払うことによって10ワットの証書を手に入れることができます。
この証書は協会に所属したアーティストたちの作品や活動と引き換えることができます。
また、ワット清算システムのような地域通貨としても活用し、芸術作品以外のモノやサービスとも交換できます。」

     

パン屋のお金とカジノのお金はどう違う? ミヒャエル・エンデの夢見た経済・社会
  子安 美智子 監修 廣田 裕之 著
オーエス出版 (2001/7) 定価 1500円+税

 世界的な不況の深刻化に伴い、グローバリゼーションの嵐はいくぶん吹きやんだかのように見えますが、アメリカを
中心とした実体経済からかけ離れたマネーゲームの危機は、深刻さを増すばかりです。「剥き出しの」資本主義経済に
対する反感や批判が高まるものの、次の時代を担う社会像はまったく見えてきません。
それだけに、「エンデの遺言」や地域通貨に対する関心は予想以上に高まってきています。
 しかし、これまでの常識のような利子のつく貨幣経済の否定は、簡単に理解できるものでもありません。
本書は、多岐にわたる「エンデの遺言」に関わる問題提起を、平易に、日常の問いかけに即して語りかけます。 
 




モモ
時間どろぼうと ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語
 ミヒャエル・エンデ著 大島かおり訳
岩波書店(1976/09/24) 定価1700円+税
愛蔵版 定価2800円+税   岩波少年文庫版 800円+税

     
    
 時間に追われ人間本来の生き方を忘れている現代の人々に、時間の本当の意味を問いかけるおはなし。
ファンタジー小説のようで、大人の哲学書のようでもある。
 日本で150万部の実績!「星の王子さま」とともにプレゼントの定番
純粋なファンタジー童話として読んでなんらかまわないのですが、
これだけ世界中の多くの人々に読み継がれるのには、深い訳がありました。
参照リンク:エンデ著作リスト

 日頃お世話になっているS市役所のHさんから「モモ」についての感想をお寄せいただいたのでここに転載させていた
だきます。
「おもしろくていっきに読んでしまいましたが、場面場面で考えさせられることがたくさんありました。
30年近く前に書かれた本とは思えません、今自分が現実に悩んでいることがそのまま描かれています。
それだけ社会は変わっていないのか、それとも人間とはそう簡単に変わるものではないのか・・・。
 ただ私は、今のところ『等身大(自分の能力に見合う)で生活する』ことと、『少しでも向上しようと背伸び(努力)する』
ことと、自分一人のなかでどう同居させたらいいのかわからないでいます。
 『モモ』の最後のように明るい未来は私にくるのだろうか・・・。
 その最後も、非常にハッピーエンドだけれど、それが永遠に続くわけではないのでしょうね。
 同じようなピンチを繰り返したり、ちがう事件が起こったりするのではないか、そんな気がします。
『人間』の悩みが社会全体の悩みでもあるのだと思います」 
 

     

  子安美智子 著  「モモ」を読む シュタイナーの世界観を地下水として  
学陽書房  定価 1300円 + 税
 600円 + 税
子安美智子 著 「モモ」を読む  
朝日新聞東京本社  定価 583円+税
 


田村都志夫 著 エンデを旅する 希望としての言葉の宇宙
岩波書店(2004/12) 定価 本体1,900円+税
 

    

重松宗育 著 モモも禅を語る 
 筑摩書房(1991/05/30) 定価 1230円+税

「三昧」「無心」などの禅の言葉を通じて、「モモ」のストーリーの意味を解き明かします。
 余談ですが「三昧」といえば、まさにこのテーマ館が目指しているものも、読書三昧・仕事三昧・遊び三昧です。
 



自由経済研究 第14号 1999年月  特集 エンデの遺産
 ぱる出版(1999/11) 定価1000円+税

「モモ」、人間とその経済の、回復の物語     森野栄一
経済学者のための「モモ」入門     W・オンケン

 経済研究論文集ですが、エンデや地域通貨研究の必読書
 参照リンク  自由経済研究    
 



エコマネー ブックガイド
新しい通貨観、経済観 参考文献ガイド
起業力・創業力(イノベーション)の時代
アワニー原則、サスティナブル・コミュニティのこと
「お金」と楽しくつきあおう
自然と社会の再生産の基礎単位としての家族




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,


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