サイトの全体構造  本乃枝折(検索リンク) 群馬県・郷土出版案内・リンク集  管理人のブログ


かみつけの国 本のテーマ館
第四テーマ館 田舎で「美しく」暮らす 

万葉植物と東歌関連ブックリスト





土屋文明 万葉集上野國私注
煥乎堂(1944/09/20) 定価1800円+税

 こういういい本が、残念ながら地元でありながら、煥乎堂の刊行物となるとあまり流通していないのです。昔と異なり、群馬の書店でも煥乎堂と
取り引きのないお店が多くなってしまいました。良い財産はもっと積極的に流通させましょう。
 案の定ある日、この本をレジに持ってきたお客さんから、この本はほんとにこの定価でいいんすか?と聞かれました。お客さんからすると、消費
税導入前の定価表示だったので、古本屋で掘り出し物を見つけたような思いだったようです。


土屋文明  万葉名歌
アートデイズ (2001/12) 定価1,800円+税

 この出版社は次々に名著を復刊しています。
 万葉の解釈が大きく分けて次のふたつの見方に分かれることを、吉永哲郎の『万葉を哲学する』で知りました。
 ひとつは、近代的な意識で歌を鑑賞する方法で、「アララギ」の歌人たちを中心に確立し、斎藤茂吉の『万葉秀歌上・下』(岩波新書)、土屋文明
『万葉集私註』(筑摩書房)に代表される。もうひとつは、民俗学を古代文学に応用し、万葉人の発想に立つ鑑賞をする折口信夫一門で、山本健
吉・池田弥三郎の『萬葉集百歌』にその鑑賞の一端がうかがえるという。
  





北川和秀 著 群馬の万葉歌

あかぎ出版(2003) あかぎ出版刊行書籍リスト 定価 本体1,600円+税

おすすめ度★★★★★
群馬ゆかりの万葉歌を、群馬の第一線で活躍する書家の名筆と写真で綴る本。万葉植物のカット、歌碑散歩、案内地図など多彩な内容で編集するふるさとの古典散歩。



富澤智子 著 伊香保の万葉集 (万葉叢書A)

万葉書房(2000/09/09) 定価 980円+税

なんと24歳の若さで逝ってしまった著者がのこしてくれた小さな本ですが、著者の若き思いとともに、伊香保山麓の歌碑を訪ね歩いてみると、この1冊の重みが限りなく伝わってくる。

  伊香保風吹く日吹かぬ日ありといえど
             吾が恋のみし時無かりけり

 伊香保の酒屋さんがこの本をたくさん売ってくれています。



吉永哲郎 著 万葉を哲学する

上毛新聞社出版局(1997/04)品切れ 定価 本体1,500円+税
 冒頭で次の東歌を紹介している

    佐野山に打つや斧音の遠かども
          寝もとか児ろが面に見えつる

 この「斧音」は木を伐る音で、時代からすれば、畑を開墾するための木を伐る音だろうという。さらに、万葉集を見るとその木の代表は「榛(はん)の木」で、成長の早い榛の木は焼畑に関わる重要な木であるという。
 こうした話で、榛名山、榛東村などの地名の意味が、万葉の時代の生活とともによみがえってくる。

 大和政権と上毛野国の関係については、黛弘道『上毛野国と大和政権』上毛新聞社(1985/12)や豊田有恒・熊倉浩靖『対談 謎の上毛野氏』上毛新聞社(1988/03)などが参考になります。

続 万葉を哲学する 東歌の原風景
吉永哲郎 著
上毛新聞社(2000/09/04)
定価1200円+税
この続編を読めば、当然前の正編が読みたくなるところでしょうが、品切れです。
正編にくらべて、東歌に関する部分はだいぶ少なく、山上憶良などを軸に、万葉人の生活を総合的に現代人の眼から解説しています

 吉永さんは、他に市民サークル「蘇芳の会」で源氏物語講座を30年にもわたって続けておられ、それらの経験にもよるのか、単なる知識、教養に留まる学問から、人になにを伝えるべきかをしっかりとわきまえた語り口が文章ににじみ出ており、とても共感をおぼえます。




樋口秀次郎 榛名山と万葉集

有限会社榛輝(1987/03)
地元で万葉集東歌、榛名山を語るうえで、これほどわかりやすくコンパクトにまとめられた本はないと思われるすばらしい本なのですが、自費出版のようにだされたこの本は、古書でしかみつけることができない。



樋口秀次郎 上野万葉紀行・東歌の世界

マツダ印刷(1978/10) 創林社(1985/07) 定価 本体12,000円税 品切れ
600ページに及ぶこの分厚い本はさぞ難しい学術的研究書かと思われそうですが、内容は実に平易に解説した本です。当時の人々の暮らし、日常の姿が見事に描写され、格好の手引書になります。
  
群馬 万葉のいしぶみ
樋口秀次郎
群馬出版センター(1991/02) 定価 本体2,524円+税

東歌の風土と地理 −上毛野国−
中金 満
教育出版センター(1983/08) 定価 本体2,800円+税

萬葉集東歌
田辺幸雄
塙書房(1963/09)

伊香保の嶺呂
万葉集上野国歌
根岸謙之助
群馬文化叢書第一集 群馬文化の会刊行(1966/09)



須藤雅美 著 上野万葉地名の考察

有限会社アニメティタウン文化事業部発行 (1944/11) 定価 本体3,398円+税
 この本は実に個性的にまとめられた面白い本です。
著者は松井田町の町史編纂委員などをされている方ですが、万葉集のルーツを基礎資料やよく整理された年表をもとに、万葉集解釈の歴史概要をきちんとおさえたうえで、著者独自の読み・解釈を述べています。地名の考察が鍵になっていますが、上野万葉集研究のうえでは欠かせない1冊です。
 一般的に私のような素人に万葉仮名は、音を漢字にあてはめただけのものととらえらえていますが、著者は、なぜ同音でも異なった文字があてられているのかとの疑問から、精緻な考察をすすめています。

   賀美都家野 久路保乃禰呂乃 久受葉我多
     可奈師家児良爾 伊夜射可里久母
                     (万14 三四一二)
   上野 久路保の嶺ろの 葛葉蔓
     かなしけ子らに いや離りくも
                      〔従来の読み〕
 数ある東歌のなかで「可美都気野」をこの歌だけは「賀美都家野」と「賀」の字を使っている。
 著者は、万葉仮名一字一字の語彙をたどり、決してそれが単なる当て字によるものではなく、意味を持ったながれを見て取れると論証していく。

 個々の漢字の語源の意味から上記の歌の大意を解釈すると
    おお・・・!神前に供物を供えこの美しい恵まれた村に住む我ら一族より、新年の祝いを申す。ご先祖が見守って下さるお陰で私も外敵から村を大切に守り続け、神主としての役目を果たし、代々それを続けられたことを私は感謝する。神主としてこの純粋な村人たちをこれからも指導していけるよう、そして末長く村人たちの生まれ育ったこの里に、幸せが続くよう守ってほしい。
 となる。同時に著者は古語による読みと解釈も加え、どの読み方が正しいと決めつけることなく、多様な解釈が成り立つことを論証してくれる。
 古代朝鮮語で、これまで意味不明と思われた枕詞や神々の名前を読み解いた、李寧熙も画期的に見えましたが、著者の解釈は誰からみても無理なく受け入れられる内容のものです。



万葉集の植物
吉野正美 解説 / 川本武司 写真
偕成社 (1988/09/01) 定価 2000円+税
 美しい写真とともに、万葉の歌がわかりやすく解説されている。万葉の歌の入門書として、同時に山野草の入門書として最適!私の本も、もうボロボロになるほど愛用してます。

花の万葉秀歌
監修 中西 進   写真 熊田達夫
文・中西 進/清水章雄 山と渓谷社(1995/03)





万葉植物事典 万葉集を読む
北隆館(1995/11/20) 定価 3690円+税
野山の散歩も万葉文学鑑賞も、すべてこの1冊から始めるのが良い!
旅のお伴に持っていく本を、一冊選ぶとしたらコレ!
万葉植物には、「いちし」のように該当する植物が、コサイチゴだかヒガンバナだかギシギシだかエゴノキだかさっぱりわからないものも多いので、このような本は必備になる。

古典の植物を探る
細見末雄 著
八坂書房 (1992/02) 定価2,718円+税 
この出版社は植物や花、古典文化や言葉に関して優れた本を多く出しています。品切れの本も多いようですが、比較的古書店ではよく見かけることができます。



風呂で読むシリーズ   「万葉花歌」
「万葉の四季」世界思想社(1998/04)
  神野富一 著
「万葉挽歌」世界思想社(1998/09)
  上野 誠 著
「万葉花歌」世界思想社(1996/06)
  扇野聖史 著、森田育之(他)   
定価 各951円+税
 この風呂で読むシリーズは他にも李白などの唐詩や蕪村や牧水などたくさんでています。
 旅先の露天風呂なんかでゆっくり読めたら最高!

「図説地図とあらすじで読む万葉集」
坂本 勝 監修 青春出版社(2006/07) 定価 本体 1,080円+税



ミニ雑草図鑑  雑草の見分け方
廣田伸七 編著
全国農村教育協会 定価2,200円+税
 かつて昭和天皇だったか「雑草という草はありません」との名言がありましたが、本のタイトルをつけるとすると、「雑草」という言葉を使わずに表現するのは難しい。雑草や山野草の図鑑類はたくさんありますが、身の回りの草花を確認するには、この出版社のものが、最も便利。道端の「雑草」が実によく網羅されている。同社の「野外観察ハンドブック 校庭シリーズ」もおすすめ。
 新・校庭の雑草  定価1,905円+税
 校庭の樹木    定価1,905円+税 
 校庭の作物    定価1,905円+税
 校庭の花      定価1,905円+税
 校庭の野鳥    定価1,905円+税
 校庭の昆虫    定価1,905円+税



林 直道 著 新装版百人一首の秘密     驚異の歌織物

青木書店(1981/06、新装版2003/12) 定価 本体2,300円+税
 万葉、東歌の世界と直接の関係はありませんが、毎年新年にお客さんをつかまえては、「この本スゴイですよ」とお薦めしている本です。
 著者は経済学者なのですが、百人一首が歌のなかで同じ言葉が使用されている歌同士を上下左右つなぎあわせる構造をもっていることを発見。しかもその重複することばをならべると、一枚の絵が出来上がり、その絵のなかに四隅に配置された歌の作者との関係の隠されたメッセージがあると解明している。
 百人一首のしくみを解明した研究者はおりますが、ここまでの謎解きをした人はいません。畑違いの人のせいか、もっと大発見として騒がれるべきだと思うのですが。

新装版百人一首の世界
林 直道 著
青木書店(1986/04、新装版2003/12) 定価 本体2,300円+税


 『百人一首の秘密』の構造をもう少し具体的にお見せしましょう。
 有名な次の歌の場合
  過ぎて夏にけらし白干すてふ天の

が重なる歌として上の位置に次の歌が
  君がための野にいでて若葉つむわが手に雪は降りつつ
くるが重なる歌として下の位置に
  名にしおはば逢坂のさねかづら人に知られでくるよしもがな
が重なる歌として右側に
  人はいさ心も知らずふるさとは花ぞむかしのににほひける
たへ、たえが重なる歌として左側に
  滝の音は絶えて久しくなりぬれど名こそ流れてなほ聞こえけれ

といった歌が繋がり、すべての歌がこのような構造で四方に関係を持っている。
そしてそれら春、山、花などの言葉をならべると一枚の風景の絵が出来上がる。
その風景と四隅に配置される作者の関係なかに、後鳥羽院と定家の関係が浮き出ている
 この関連を知ると、百人一首の暗記も早くなるのではないでしょうか。



伊藤 博 萬葉集 釈注 全10冊 別巻1 補巻2

集英社文庫 (2005〜06) 定価 各巻本体1000円+税
文庫で手に入る万葉集は、本文のみで注釈のほとんどないものか、抜粋のものがほとんどであるため、14巻の東歌の部分は、手頃な本で全文をみることはなかなか出来なかった。
ようやく本シリーズが集英社文庫で出されたため、東歌全文と解説を手軽に通読できるようになりました。
この巻十三、十四の入っている7巻のみでも普及してくれるとよいのですが・・・







テーマ館内の関連ページ

伊香保万葉東歌の世界  
アジサイ(紫陽花)の万葉歌 二首のしおり
伊香保神社 vs 榛名神社    子持の眠り姫

上州の諸街道  群馬の地名の魅力をたずねる 
年表を読む面白さ

,


 本乃枝折 (新刊・古書など様々な検索に便利)

トップへ
トップへ
戻る
戻る


サイトの全体構造 


inserted by FC2 system