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かみつけの国 本のテーマ館
第二テーマ館 群馬の山と渓谷 

山でクマに会う方法

当店のロングセラー
 米田一彦 著 
  「山でクマに会う方法 これだけは知っておきたいクマの常識」
    山と渓谷社 (1996/10/10) 定価(本体1238+税)

                                              

 群馬ではリンゴ園などでクマの被害が絶えない。被害に苦しむ農家は、リンゴをいくら食ってもかまわないが、枝を折
るのはやめてくれ、と叫ぶ。クマに枝を折られると、新しく枝が伸びるまでの間、数十個から百個を超える収穫の減少に
見舞われるからである。
 地元の人間からすると、群馬にそれほど野生の動物が生息するようには思われていないようでもあるが、鹿やサル、
クマの生息環境は国内でも恵まれている(?)方である。
 古くから秋山郷の猟師などからも、新潟の山よりも群馬の山の方が「山が大きい」といわれ、群馬までクマ撃ちに来て
いた。「山が大きい」というのは、雄大な高山が峰を連ねているというよりも、沢筋から尾根への流れが大きく深いとい
ったような意味なのだろう。それだけ動物たちの棲家としても、私たち人間の遊ぶフィールドとしても群馬は恵まれた自
然があるのである。

 問題は尾瀬のように観光地化していく自然の保護と、人間側の都合で追いやった野生動物たちとの共存方法であ
る。

 米田氏の活動や研究を見ると、まだまだ自然や野生動物の保護などといっても、私たちは彼らの生態や真の姿をほ
とんど知らないことがよくわかる。
 まず、彼ら(クマやサル、シカなど)の生態を知ること、大きな自然の力ををもっともっと人間が理解することが、なによ
りも私たちに求められていることではないだろうか。

                                         


米田一彦(まいたかずひこ)

 1948年青森県生まれ。
 秋田大学教育学部卒業。
 秋田県庁で鳥獣保護、自然保護行政に携わったのち、フリーのクマ研
究者となる。立ち遅れていた日本のクマ研究に次々に新しい手法を導入
し、ツキノワグマの越冬生態、行動の研究を行う。
 現在、西中国地方で絶滅の恐れのあるツキノワグマの保護・管理に奔
走している。
                       (以上著者経歴は「山でクマに会う方法」より)


                主要著作一覧

 「ツキノワグマを追って」   小峰書店 (1994/12/01) 定価 1200円+税
  

 「クマを追う」          どうぶつ社 (1996/01/01) 定価 1748円+税
   

 「ツキノワグマのいる森へ」 アドスリー(1999/06/01) 定価1800円+税
  

 「ニホンカモシカ」       偕成社 (1984/01/01) 定価 1400円+税  
  

 「四季・クマの住む森」    中央法規出版 (1997/07/01) 定価 1400円+税
 

 「秋田のけものたち」     秋田魁新報社 (1985/01/01)  定価 1359円+税
    * 著者がこの本を出した時、話を聞いていた子どもが「おじいちゃん、どうして秋田は、のけものなの?」って     言った話がどっかに
でていましたが、どの本に出ていた話だったか。確かそれに対するおじいさんの見事な     切りかえしがあったが、思い出せない。
 

 「まるきばしをわたる動物たち」 大日本図書(1998/03/01)定価1333円+税
 

 「月の輪熊は山へ帰った!―人とクマ、共生への道」
                   大日本図書(1998/09/01) 定価1300円+税
 

 「生かして防ぐクマの害」   農山漁村文化協会(1998/06/01)定価2095円+税
     


 
                      「クマ追い犬タロ」     
                  小峰書店 (2001/10/1) 定価1,500円+税
                         2002年 第48回 課題図書
          



関連おすすめ書


姉崎 等 「クマにあったらどうするか」
木楽舎 定価 本体1,524円+税

  


玉手英夫著 『クマに会ったらどうするか―陸上動物学入門』
岩波新書(1987/06) 定価480円

  


東根千万億 『SOSツキノワグマ』 岩手日報社
来栖浩司 『熊と向き合う』 創森社
宮沢正義 『クマは警告する』 ほおずき書籍
 渡辺弘之 『ツキノワグマの話』 日本放送出版協会
 新林佐助 『クマと雪崩』 無明舎出版


2007年、激減したクマの被害


毎年秋になると、リンゴ園を中心に 里に下りてきたクマの被害のニュースが絶えないものですが、
2007年は少なかった。
いや、少ないばかりでなく、激減したというニュース(2007年11月18日の東京新聞)を見て驚きまし
た。


2006年の利根沼田地区の農作物被害額は 、
過去最大規模の約4千万円
被害面積も37ヘクタールを記録した。

それが2007年の被害額は
約360万円
前年の10分の1以下に激減したということだ。
被害面積も25ヘクタールに減少した。

檻につかまったクマの頭数も
33頭で、昨年の230頭にくらべると約7分の1。


はじめは様々なクマ対策が進歩して、その効果がようやく出始めたのかと思ったのですが、
実態はそういうことではなかった。

クマ、シカ、サルなどが出没して農家や一般の民家に被害を与えるとき、
よくその原因として指摘されることに
自然界の山と人間界の境界線の役割を果たしていた里山の荒廃などがあげられます。

そして一度里に下りてしまった動物が、そこにおいしいエサのあることを知ってしまったら、
どんな対策をうってもなかなか追い返せない、
といったようなことをよく聞いていました。

ところが、2007年のクマの害が激減した例は、こうした今までの考え方を覆すほど
本来の自然の豊かさを私たちに再認識させてくれるものでした。

それは、2007年年は山のドングリが良く実っていて
山にエサが豊富にあるためにクマが里に下りてこなかったらしいということです。



山のドングリがどれだけあるかが、クマの行動に与える影響は常識的に昔から言われていました
が、 一度、里の甘いリンゴなどの味をしめてしまったクマが、 山のドングリが豊富な年でも里に下り
てこないものかどうかは、 はっきりとした説明はこれまではできなかった。

それが、2007年の事例を見ることで、 どんなに美味しいものを一度知ってしまったクマであっても
危険の多い人間界にまで出てくることは、 やはりそれなりの特別な事情によるのではないかというこ
とが、 あらためて浮き彫りにされたということです。

山に豊富なエサさえあれば、
どんなに品種改良を重ねた美味しく甘いエサが里にあったとしても、
人間と接触する危険をおかしてまで、
人里におりてくる理由はない、ということです。


とはいっても数字上は、確かに昨年の被害が異常に跳ね上がった年といえるので、
今年が突出して少ない年といえるほどのものではない。

それでも、この激減という変化は、
山が本来の豊かな実りを与えてくれる空間でさえあれば、
いかに大きな変化をもたらすものであるかを私たちに教えてくれるものだと思う。



「かみつけの国 本のテーマ館」関連ページ
「マタギに学ぶ自然生活」
http://kamituke.hp.infoseek.co.jp/page136.html


補足

イノシシは、地域的絶滅を経験しても復活したりしてますが、
クマは、ほぼ一定数で推移していると思われます。

熊の棲息数の推定について、先のページ「マタギに学ぶ自然生活」のなかで紹介しているものです
が、猟師が捕りすぎたと思われる年に、個体数を減らす心配のない根拠として以下のような説明もさ
れています。

 「上(群馬)、磐(福島)、越(新潟)の国境地帯には、約200頭の熊が棲むといわれている。
その200頭のうち半分の100頭が雌。
その半数の50頭が子を生むとすると、一頭につき二頭の子を持つのが多いから、年間100頭は生ま
れる。
うち50頭もとられることはないようである。
熊の寿命は25年くらいであるが、このようなおおざっぱな計算をしてみて、その棲息頭数はそう減る
ことはないとみている。」



2005年9月〜10月に行った
マタギに学ぶ自然生活フェア





テーマ館内の関連ページ

群馬の山と渓谷  群馬の山ブックガイド
  尾瀬関連書籍ガイド 立松和平『浅間』

マタギに学ぶ自然生活  ニホンオオカミ復活プロジェクト
上州の御巣鷹山について
群馬ツチノコ研究会  群馬ツチノコ研究会入会試験問題
どう考えたって「足尾」は群馬県だろう!の乱  小滝の里の魅力
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