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   かみつけの国 本のテーマ館
第六テーマ館 今、戦争をどう語るか

戦争遺跡と廃墟の美学
(2013/08/27更新)

 2002年ごろからでしょか、廃墟に関する写真集や本の刊行が相次ぎ、あれよあれよという間に、随分たくさんの本が刊行されて、ちょっとしたブ
ームになりました。
 こうした視点は、赤瀬川源平などが昔から追求していた視点でしたが、かたや戦争遺跡という視点からの廃墟、かたや鉱山跡やホテルや施設、
廃校や廃線なとの廃屋建造物そのものに対する関心からの視点などがからみあって、相乗的に廃墟に対する関心が高まってきたようです。




 このテーマ館でも当然、足尾銅山という巨大な廃墟と、中島飛行機の地下工場跡に代表される戦争遺跡の関係から不可分のサブテーマをなす
ものです。
 こうしたそれぞれの廃墟は、歴史も性格もさまざまに異なるだけに、そこに訪れたひとの知識や体験によって、まさに十人十色の観方がありま
す。



前を通り過ぎるだけでは、昔の防空壕跡かと思って見過ごしてしまいそうですが、地下軍需工場の入口。
群馬県月夜野町の後閑駅の北東訳500mにある中島飛行機尾島工場の地下工場跡



  

十菱駿武・菊地実 編  『しらべる戦争遺跡の事典』
柏書房(2002/06)
定価 本体3,800円+税

 遺構、遺物の調査方法、史資料の調査や聞き取りの方法や保存方法など総合的な研究法の解説から、全国の主要戦争遺跡の紹介、解説ま
で網羅した本格事典。
 群馬では、旧中島飛行機小泉製作所尾島工場の地下工場跡、旧陸軍火薬製造所の地下工場跡などが紹介されています。こうした強制連行・
強制労働を抜きにしては語れない地下工場などは10ヶ所を数えるという。
 編集者の菊地実氏は(財)群馬県埋蔵文化財調査事業団主幹兼専門員。

十菱駿武・菊地実 編  『しらべる戦争遺跡の事典 続』
柏書房(2003/06)
定価 本体3,800円+税

            

『近代日本の戦争遺跡 戦跡考古学の調査と研究』
菊池実 著
青木書店(2005/08) 定価 本体4,300円+税
陸軍岩鼻火薬製造所、陸軍前橋飛行場など群馬の戦跡を中心にまとめられた論集
これは是非、欲しい本なんだけど、ちょっと高い。



        

戦争遺跡保存全国ネットワーク編  『戦争遺跡から学ぶ』
岩波ジュニア新書(2003/06) 定価 本体820円+税

安島太佳由著  『日本の戦跡を見る』
岩波ジュニア新書(2003/12) 定価 本体780円+税

       
戦争遺跡保存全国ネットワーク編  『日本の戦争遺跡』
平凡社ア新書(2004/09)  定価 本体1200円+税

飯田則夫 著 『図説日本の軍事遺跡』 ふくろうの本
河出書房新社(2004/07)  定価 本体1,600円+税
  


東村防空監視哨跡(勢多郡東村大字花輪)

 この施設の構造は「円筒形の半地下式で「聴音壕防空監視哨」と呼ばれ、形状は上端がラッパ状に開く円筒形(口径4,2m、内径は3,1m)の
コンクリート造り、壁の厚さは0,3m深さは3mである。当時はこの株構造物のまわりに8本の柱を立て、上屋構造は藁葺きで円錐形の屋根が乗
っていた。付属施設として通信室を中心に仮眠室、控え室を兼ねた事務所を備えた。」  戦争遺跡保存全国ネットワーク編  『日本の戦争遺
跡』より

 『町民がつづる足尾の百年 第2部』(光陽出版)のなかに、実際にここに勤務した新義雄さんの話が出ていました。
 「私はそこに昭和16,17の2年間勤めていました。監視哨長は斎藤勝さん。5班に分かれ、1班が8人編成で、二人組みで監視にあたりました。
足尾は栃木第三と呼ばれ、第二が日光、第一が宇都宮でした。
 こんな話もあったそうです。哨長が軍隊に召集されて、「困ったことになったな」と考えこんでいると、次の日、哨長が帰ってきたのです。みんな驚
きました。わけを聞くと、「監視哨は軍隊扱いで、召集は誤りだった」ということでした。
軍が監視哨にいかに力を入れていたかがわかります。今になってみれば、あの監視哨がどんな役にたったかは不明です。
 (略)爆音の特徴で飛行機の種類を識別できるようレコードを聞いて訓練しました。
 爆音が聞こえたら、頭のテッペンを爆音がする方向に向け、一致したら頭をあげれば、飛行機をとらえることができるのです。
 勤務は壕で1時間、仮眠1時間、事務室での待機1時間、この繰り返しで、24時間勤務しました。日当は、食事つきで1日80銭、消防の日当は60
銭でした。」



群馬の森敷地内の陸軍岩鼻火薬製造所跡 
隣接する原子力研究所や日本化薬株式会社の敷地内には、まだ多数の建物が残されている

              
    爆発事故にそなえた土塁にあるトンネル             「我が国ダイナマイト発祥の地」の碑


菊池 実 原田雅純 著
『陸軍岩鼻火薬製造所の歴史 −県立公園「群馬の森」の過去をさぐる−
みやま文庫 (2007/07) 会員配布


  戦後60年も経た今、群馬県下高崎市内で、戦時下に構築された防空壕や地下工場などの「特殊地下壕」が新たに2箇所確認されたそうです。
 それは地元のひとはおそらく知っていたものと思われますが、山沿いの民有地にあった防空壕で、安全のため入口はすべて封鎖されたそうで
す。
 県下の確認された地下壕(合計18ヶ所)の数は以下の通り
     沼田市  6ヶ所
     高崎市  5ヶ所
     前橋市  2ヶ所
     月夜野町 2ヶ所
     太田市、群馬町、吉井町が各1ヶ所




第10回戦争遺跡保存全国シンポジウム 群馬県実行委員会 編
『学び・調べ・考えようフィールドワーク 群馬の戦争遺跡』
平和文化 (2007/08) 定価 本体600円+税




菊池 実 著 『戦争遺跡の発掘 陸軍前橋飛行場
新泉社 (2008/06)  定価 本体1,500円+税



     
牧野弘道著  『戦跡を歩く』
集英社(2002/07) 定価 本体1,700円+税



 
石本 馨 著  『戦争廃墟 昨日の事は昨日の眼で見よ
ミリオン出版(2006/09) 定価 本体1,900円+税

 
戦跡保存会・編  『太平洋戦争 忘れじの戦跡を歩く』
講談社(2006/09) 定価 本体838円+税

        
    
堀 淳一 著
『歴史廃墟を歩く旅と地図 水路・古道・産業遺跡・廃線路』
講談社+α新書(2004/08) 定価 本体838円+税

堀淳一著 『消えた街道・鉄道を歩く 地図の旅』
講談社+α新書(2003/04)定価 本体880円+税

栗原亨著 『廃墟の歩き方 探索編』
イーストプレス(2002/05) 定価 本体1,500円+税

栗原亨著 『廃墟の歩き方 2 潜入編』
イーストプレス(2003/11)定価 本体1,500円+税

     



         

雑賀雄二 写真・文  『軍艦島 眠りのなかの覚醒』
淡交社(2003/03)
定価 本体3,000円+税

 日本全国の廃墟のなかでも、規模、島という景観の独自性などから、廃墟学の聖地とすら言われる軍艦島の写真集。沖合いからまず眺め、島
に足を踏み入れていくすべてのプロセスに異質な歴史空間へ接近する味わいと楽しみがあふれている。
 軍艦島に関しては、廃墟としてではなく、その島の歴史そのものをあつかったものなど他にもいくつかあります。

伊藤千行・写真 阿久井喜孝・文
『軍艦島 海上産業都市に住む』
岩波書店(2004/10)復刊 定価2,415円
   

2004年8月の記事で、軍艦島クルーズ定期便が就航しはじめたことを知りました。
 長崎〜軍艦島(上陸はしません)〜野母崎コース
 所要時間 1時間10分  料金1980円
 航行日 土・日曜(1日2便) 10月31日まで運航
 






  

小林伸一郎  『廃墟をゆく 小林伸一郎写真集』
二見書房(2003/01)
定価 本体2,500円+税

  『廃墟遊戯 DATHTOPIA』  『廃墟漂流』 『廃墟侵入』
ぶんか社(2003/05)  定価 本体3,800円+税

       






太子(おおし)線(長野原〜太子) 太子駅跡
太平洋戦争末期、軍需用金属資源不足を打開するために、突貫工事で建設された。
コンクリートの建造物は、鉄鉱石を直接貨車に落として積みこむ施設。




宇佐美圭司著 『廃墟巡礼 人間と芸術の未来を問う旅』
平凡社新書(2000/03) 定価 本体600円




廃墟というにはあまりに美しい、旧信越本線の「めがね橋」


現代の新幹線のコンクリート高架橋とくらべると、はたしてどちらが廃墟かと思ってしまう。


  

 丸田祥三著 『鉄道廃墟−棄景1971〜』
 JTB(2001/03) 定価 本体1,700円+税 ちくま文庫(2004/08) 定価 本体950円+税
丸田祥三氏は14歳のときから廃墟の風景を追い続けているエキスパート

    東京―棄景〈3〉    

       

『廃車幻想』(彩流社)


原口隆行/編 早稲田大学鉄道研究会/取材・執筆
『日本の鉄道廃線探訪の旅』
ダイヤモンド社(2004/06)定価 本体1,800円+税

         







中谷薫 著 『廃墟探訪』
二見書房(2002/10) 定価 本体1,800円+税

        

谷川 渥 著  『廃墟の美学』
集英社新書(2003/03) 定価 本体600円+税

他に同著者の編集で『廃墟大全』中公文庫







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